第62回北海道消費者大会が9月2日(火)に、かでる2・7(札幌市)で開催されました。
今年のメインテーマは「次代へつなぐ消費者運動~未来へバトンを~」で、帯広消費者協会からは、村上会長含め5名が参加しました。
開会式では、大会長である北海道消費者協会橋本会長から会員減少や高齢化の課題を抱える中、消費者運動は私たちの生活と未来を守る大切な活動だと信じ、自信と誇りを持って次世代にバトンを繋いでいきましょう。」と挨拶がありました。

 続いて、北海道知事表彰(北海道社会貢献賞)の表彰式が行われ、帯広消費者協会会員の山科さん(大樹町消費生活相談員)を含め4名の方が受賞されました。

 

基調講演では、法政大学大学院政策創造研究科准教授、公益財団法人消費者教育支援センター 理事・首席主任研究員 柿野 成美氏から「次代へつなぐ消費者運動」をテーマに、消費者を取り巻く環境の急激な変化に対応する消費者運動のあり方についてお話がありました。
講演では、まず消費者が社会全体を考慮して行動する「消費者市民社会」の重要性が高まっていることが強調されました。
また、近年の消費者運動における新たな動きとして、若い世代のエシカル消費への関心の高まりが挙げられました。こうした若い世代の関心は、今後の消費者運動の大きな原動力となり得るとの指摘もありました。事例として、フェアトレードやケージフリー卵、リペアカフェの取り組みなどが紹介されました。
※フェアトレード:開発途上国で作られた製品を、生産者が人間らしい生活を送れるよう、適正な価格で継続的に買い取る貿易の仕組み。
※ケージフリー卵:雌鶏を狭いケージに閉じ込めず、平飼いや放し飼いなど鶏の自然な行動を促す方法で飼育された鶏が産んだ卵のこと。
※リペアカフェ:オランダで生まれた「修理(リペア)」をテーマにした活動で、地域のボランティアが壊れた家電や服、家具などを修理する場所です。
最後に、消費者運動を次代へつなぐための鍵として、生産者と消費者が互いを尊重し、連携する関係を築くことの重要性が示されました。若い世代や地域に思いを伝え、共に行動していくことが、未来へつながる運動を育むことになると結ばれました。

パネルディスカッションでは、基調講演の講師を含め5名の方が意見を交わしました。

 

ワークショップデザイン describe with 代表 高橋 優介氏から、若者と地域・社会をつなぐための対話の場づくりに関する実践事例を紹介。特に、ゲームや体験型教材を用いた「ゲーミニケーション」は、理解度を深めると同時に楽しみながら学べる有効な手段として強調されました。また、フードドライブの事例から、地域資源と社会課題を結びつける「コーディネーター」の重要性が指摘されました。

 

北海道大学文学部3年 未来開拓俱楽部 部長 吉野 真由氏からは、環境社会心理学を専門とする学生の視点から、食品ロス問題への取り組みが報告されました。また、商品開発(「食べられるお皿」)や学生サークルのネットワークづくりを通じて、環境問題に関心がない層にもポジティブな側面からアプローチすることの重要性を提示。家庭からの食品ロス削減には個人の意識変革が不可欠であり、そのための研究や活動の必要性を話されました。

室蘭消費者協会 会長 安部 益美氏からは、長年の課題であった若い世代との連携について、室蘭工業大学と連携して開催した「スマホ安全教室」の成功事例を紹介。

シニアと学生が共に学び、話し合うことで世代を超えた交流が生まれ、新規会員の獲得にもつながった。この成功体験から、今後は中学校での講座実施など、世代間のつながりを意識した消費者運動を推進していく方針が示されました。

法政大学大学院政策創造研究科准教授、公益財団法人消費者教育支援センター 理事・首席主任研究員 柿野 成美氏からは、各報告に共通するキーワードとして「コーディネーターの役割」の重要性を指摘。消費者市民社会を地域で構築するためには、人や資源を巻き込み、対話の場を創出していくことが不可欠であると述べられました。

北海道消費者協会 会長 長島 博子氏から、北海道消費者協会の活動の現状として、会員数の減少が課題である一方で、エシカル消費への関心の高まりに触れ、私たちが取り組んできた消費者市民社会に向けた活動が広がっていくことを期待している。と話され、パネルディスカッションが終了しました。

最後に、北海道消費者協会 村上副会長(帯広消費者協会会長)の閉会挨拶で大会が終了しました。